一昨日の続き。
前回イミグラ(移民局)に着くところまで書いた。
本当は奮闘記と書くくらいに、壁にぶつかりながらビザの更新という難行をクリアするんだろう、と楽しみ半分、怖さ半分で挑んだわけだったんだけど、振り返ってみると手続きの度イミグラオフィスから笑顔で出てきてたような、緊張感とは無縁の人情経験だった。
ビザの更新手続きよりも、片道1時間半の汗だく子連れ往復の方が、思い出すとグッタリしてくる。帰りに財布をすられたりした事もあったし。
さて、オアハカのイミグラではまず、シティと違って窓口がある部屋の入り口で番号札を取って、外の椅子に座って待つ事が出来る。
イミグラ初日、窓口に着いたのは受付が閉まる5分前だった。すると待っていたのは僕ら以外に2、3人だけ。
メキシコシティに比べるとはるかに長閑な状況に、ここに着くまでに疲れていた僕の肩の力はさらに抜けた。
ちなみに初めてのオアハカのイミグラのシステムは入り口の警備員が非常に親切で、わざわざ番号札も取って空いている椅子まで案内してくれた。
他の待っていた人も、ちゃんと番号札取った?なんて僕に声を掛けてくれるのが嬉しい。
子供たちと椅子に座った。
でも、本当に僕の延長手続きはこの窓口でいいのかな、と常に不安気分で、メキシコでは石橋を叩いて渡る僕は、案内された窓口とは別の部屋の人を捕まえて、手続きについて聞いてみた。
すると彼は作業中の手を止めて、自分のデスクに僕らを案内してくれて、ビザの延長に何が必要かなど親切に教えてくれ始めた。(お、このまま待ち時間なく手続きについて聞いて目的達成か!?)
ただ、ビザの延長手続きの前にメキシコシティからの住所変更もしないといけないことが判明して、その親切な担当者は、そのややこしい手続きと必要書類を確認するために彼の上司のデスクと行ったり来たりしながらも説明してくれた。恐らくアテンドする担当者じゃなかっただろうに、仕事中に声をかけ、不安気分の解消に付き合わせた僕に、一所懸命対応してくれて有り難すぎる。
ほんとややこしくて、僕も質問したりしながら何度目か彼が上司のところへ聞きに行ったとき、どうやら何かを注意されている様子が見えた。
戻ってくると彼は「申し訳ないんだけれど、じつは僕はこの担当ではないので、むこうの窓口で聞いてもらえるかな?」と、最初に僕らが案内された番号札を取った方の部屋を指しながら言ったのだった。
やっぱり、違った。
あぁ、声を掛けて申し訳なかったな…と思いながらベンチに戻ると、ちょうど僕らの番がやってきた。
ちなみに、そのあとちゃんと担当の人に聞いてみると、彼が言っていた申請に必要なもの、手順などはなんと全然違っていて、ややこしくなかった。(彼への感謝と共にとてもやるせない気になるよ)
メキシコシティの、カウンターを挟んで担当のおばちゃんとやり合うスタイルと違って、オアハカのイミグラでは部屋に入ると担当官が4、5名それぞれのデスクに座っていて、順番がきて僕がその部屋に入ると空いている担当官が自分の前のデスクを挟んで置いてある椅子にこっちだよっと案内してくれる。
マクドナルドで行列を背に注文をするような落ち着かないメキシコシティのイミグラとは全く異なる雰囲気に、向き合って落ち着いて話ができるような対応が受けられそうで、心底ホッとした。
その最初の日の窓口で話した人がまた良かった。
今日は何の申請ですか?と穏やかに聞かれると、え〜と住所変更をしなくちゃいけなくて、あ、でも本当にやりたいのはビザの申請手続きで〜、と、その直前知った住所変更のことなども頭に浮かびながら、おぼつかない説明の僕に(いや、ちゃんと説明していたつもりだけど、実際は分からん)、その担当者は、ちょっと待ってね、と紙に書きながら一つずつ手続きのプロセスを書いてくれて、必要な書類のリストをプリントアウトしてくれたり(実はイミグラのホームメージから印刷したのを持っていたが、彼の親切の波に流されて、持っているとは言えずに受け取った)、その日本当に丁寧に対応してくれた。
最初にそんな風に対応してもらいプロセスを僕でも理解できたお陰で、その後の手続きを気楽に通えるようになったのだ。外国人として何年にも渡ってお世話になるイミグラの印象を変えてくれたそのお兄さんの功績は素晴らしい。感謝。
彼を含めて手続き担当者は、
① Licenciadaと呼ばれる、キリッとしたお姉さん。無愛想なようで、時々笑顔。他のメンバーから時々質問されていて、仕事のやり手No.1!スペイン語が早くて、窓口の回転率を上げつつも、色々気遣ってくれて、水筒が空になった子供たちに、お水を入れてくれた。
② 上のお姉さんの隣の席の、こっちは明るくおしゃべりもしちゃうお姉さん。オト〜、ヤマ〜、カント〜、とイミグラに行くと彼女の窓口に当たらなくても子供たちに挨拶してくれる。親身に相談にのってくれる感じ。
③ まさにメキシコ人、というおばちゃん。仲良くなれれば近所のオバちゃんの如く色々相談できるけど、機嫌が悪かったり、関係を築けない外国人には意地悪ババァに見えるかもしれない。飲食禁止と書かれた室内でGalleta(クッキー)をぼろぼろ食べながら仕事してることもあった。顔は天空の城ラピュタに出てくる海賊の首領ドーラに似ていた。
④ 最初の日にあたった親切で信頼できそうなお兄さん。スペイン語も聞きやすく、面倒臭がらずに丁寧に説明してくれる、一番無難な窓口だと思う。
という4名で、正直メキシコ人おばちゃんはひっかかるけれど、毎回誰に当たるか楽しみな皆さんであった。メキシコ人おばちゃんドーラに最初あたった時は順風満帆に見えた手続きに暗雲広がっちゃったけど・・・仲間になったら心強かった。
4人の窓口担当者、事務作業をしている兄ちゃんたち、警備員、1ヶ月半の間には顔見知りになって、気が付けば挨拶し合うようになる。そういうの、嬉しいよね。
続きはまた明日。